デズモンド・モリスが人間は習慣の動物だと言ったが、これは人間に限ったことではなく大方の動物が習慣に支配されているのではないかと思われる。
三日ほど前にゲージが届いた。それまで使っていたのは犬の保護活動をしておられるシーママから借りていたものだった。借りたものは返さなければならないので、さくらが来た翌日か翌々日の注文し、それが五日ほどで届いたのであった。
前の物よりも一回り大きいのでさぞや快適になるかなと考えたのは浅はかでしかなかった。のっけから入ること事態に拒否反応を示す。尻を押して無理やり押し込めると嫌だ嫌だと言わんばかりの騒ぎよう。
気を鎮めさせようと妻がおやつをやるも静かになるのは口の中にある時だけで、食道を通過した時点で元の木阿弥。
こっちが諦めて奥に引っ込むと、しばらくしてこちらの反応がないと判ると騒いでもメリットがないことに気づいて大人しくなる。
人の顔色を窺う小憎らしい奴めと思うが、あどけない表情を直ぐに浮かべるのでそれに釣られてそう思ったことすら忘れてしまう。
心とはコロコロと変化するからこころと云うらしい。なるほど。
朝はゲージから出すと庭に一時的につないでおく。この間に自分たちが食事を済ませ、そのあと散歩に行って、それから朝食となる。これも一週間ぐらいすると心得たと見えて自分から庭の定位置に向かって行き、そこでゴロンとしたり鳥に向かってワンワン吠えたりして過ごしている。
散歩に出かける時はスタートダッシュをかける。引っ張られるように妻が後から走りながらついて行く。走る姿を見るのはさくらが来る迄なかったので自分の目を疑った。良い運動になるのは確かだ。
大便も小便も家の外で済ませるのがさくらの主義らしく、行く先々でびゅんびゅん飛ばしていく。
出すものを出したら体が軽くなると見えて足取りがいっそう軽くなりリードをぐいぐいと引っ張るようにして家に一目散に駆けこんでくる。
水とご飯を一気に平らげる。見ていても気持ちが良い。
朝のルーティーンが良い方向に変わった。めでたしめでたし。