さくら5

朝食の後に庭に出たところ二つのうんこが転がっていた。さくらのしたものであることは一目瞭然ではあるが、よく見ると一つが不自然な形をしていることに気づいた。

円柱形に近い形のはずなのに上部の一部が欠けてる。しかもその欠けた部分がギザギザしているのであった。何で?食べたから、誰が?他ならぬさくら本犬が。

さくらがうんこを食べるという話は妻から何度となく聞いていたが、どうにも呑み込めなかった。ごはんは瞬く間に平らげる奴がなんで自分がしたうんこを食べる必要があるのか?

イヌにはよくあるとのことではあるが、そこはどうしても人間である以上それを肌感覚では受け取ることが出来なかった。

昨日の夕方も「あんた私との約束破ったでしょ!」と、犬を問い詰める妻の声を聞いてはいたが、どうにもしっくりこなかった。

ところがその物的証拠を目の当たりにすると、「あぁ、こういうことか!」と、やっと納得した。何事も経験とは昔の人は良く言ったものだ。

それをうんこで味わうのもどうかしているが、動物を飼うということは世の中を見る目を広げてくれる。

かじった後のうんこを見つけた時も「さくら、お前うんこを食ったろ?母さんに見つかったら怒られるぞ」と言ったら、視線を逸らせながら近寄ってきた。

その態度は”お願いだから黙ってて”と懇願している様で可愛かったが、さくらが文句を言われる分だけ自分への攻撃は減ると踏んで、心を鬼にすることなく報告した。

すると予想通り、妻は怒りながら庭に出てきた。さくらは食後のくつろぎを味わうことが出来なかった。普通ならご飯も食べたしうんこもしたし、おまけに今日は涼しいのでいっちょ寝てやるかと思っていたのではないか。

それが怖いお説教をくらうはめになった。犬の世界もそうそう甘いものではないのだなと教えられた。

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