我が家の周りは今さくらが満開になった。一足先に咲いた李の木からは若葉が出てきた。
そんな春のさなかのきょう家に犬が来た。事のはじまりは昨日の夜に妻が里親募集のワンコが掲載されたページを見ていると、一匹の黒柴が隣の市にいることを見つけた。
私に電話をしろと圧をかけてきた。今まで何回言われても重い腰を上げなかった私に業を煮やしていた。
これに気圧されて電話すると、犬を預かっている人は半分疑っているような口調でいろいろと質問してくる。犬を飼うということはエネルギーも金も必要とする。最後までそれを全うする意思があるのか、ストレートではないが遠回しでもなく言われるので「俺は大丈夫かなぁ」と段々と思えてくる。
20分近くいろいろ話した後に、この後奥さんともう一度話し合って、飼う意思があるとなったら再度電話してくれと言われた。もう電話する気が失せてしまいそうになる 。
ここでまたダメだとしばらくチクリチクリやられるし、電話でまた説教のような質問をされるのも嫌だしと、前門の虎と後門の狼に挟まれたような心境になった。何とも気弱な有様であろう。
しぶしぶ電話すると待ってましたと言わんばかりに直ぐに出て声のトーンも上がっている。
「あれ?さっきと違う」と感じていると「明日時間がありますか、見晴台公園で会いましょう」という話になった。合わないことには始まらないし、合わなければ後も怖いので「はい、合いましょう」と言って午前10時という話になった。
そして今朝の8時ぐらいにこの方から電話があり、家の様子が見たいのでこちらに来たいとのこと。わざわざ来てくれるのを拒む理由もないので近くのスーパーで待ち合わせをした。
そして我が家に来てもらい庭や家の周りを見ると、「トライヤルしませんか、ゲージやリードをお貸ししますから」と妻に持ち掛けてきた。
犬を置いて行くという強い意志がそこにはあり、断れない雰囲気がすでに出来上がっていた。
さすがに犬の愛護のボス的存在であるので威厳がある。
時を置かず書類を出してきて仮契約のような手続きに入って行った。その流れはあれよあれよという感じで、あらかじめ書かれたシナリオに沿って展開されていったかのようだった。
犬もまんざらでもない様子で、妻は今まで見たこともないような笑顔を作り出す。この流れを押し戻す力などどこにもない。
「名前は何にします、私の方から届けを出しておきますよ」と帰り際に言うのであった。
どうするという話になり、桜が満開の時に来たからさくらにしよう。2歳のオ
ス、さくらがとりあえず我が家の一員になることとなった。